非小細胞肺がんは肺がんの約80〜85%を占めるがんで、がんの組織型によって、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどに分けられます。腺がんと大細胞がんは肺の末梢にできる(肺野型)ことが多く、扁平上皮がんは肺の入り口近くにできる(肺門型)ことが多いがんです。
肺野型肺がんのうち、リンパ節や他臓器への転移がなく、進行度が初期であるステージI期の場合は、通常、手術で根治を目指します。しかし、全身状態が悪い、慢性閉塞性肺疾患などによる肺機能の低下や、不整脈などの心臓機能の低下がある、糖尿病などの持病がある、などの場合は、手術が困難とされるケースがあります。
この先進医療は、上記の理由などで手術が難しい肺野型肺がんの患者さんに対して、放射線療法のひとつである重粒子線治療を行うものです。大きな破壊力をもつ重粒子線を集中的にがんに照射することで、がん細胞をピンポイントで破壊することが可能となります。
従来の放射線治療では手術が困難な肺野型肺がんにはX線が用いられてきましたが、X線治療に比べて、重粒子線治療はがん周辺の臓器・組織への影響が小さく、患者さんへの負担も少ないため、より高い治療効果が期待されます。 |