先進医療ナビ
反復経頭蓋磁気刺激療法
基本情報
- 先進医療技術名
反復経頭蓋磁気刺激療法*
はんぷくけいずがいじきしげきりょうほう
- 適応症
薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソード
- 療養内容
双極性障害は憂うつな気分のうつ状態と、気分が高揚した躁(そう)状態を繰り返すのが特徴です。しかし繰り返すといっても多くの場合、大部分の期間はうつ状態(双極性うつ病)にあり、これが適応症の「双極性障害の抑うつエピソード」に相当します。双極性うつ病は、いったん症状が落ち着いても再度悪化したり、回復しても再発したりして慢性化するケースが多く、自殺のリスクも高いとされています。就学・就労の妨げになり、休学・休職の引き金になって社会的な損失も大きいとも言われています。
この先進医療は、頭部にあてた機器(刺激コイル)に電流を流して磁場を生じさせ、その磁場に伴う渦(うず)電流を、繰り返し脳内の右前頭前野(みぎぜんとうぜんや)に届かせて刺激する療法です。
うつ病や双極性うつ病では、感情に関連した扁桃(へんとう)体や脳梁膝(のうりょうしつ)下部の活動が活発になり過ぎ、その結果、左前頭前野が機能しなくなっていることが知られています。磁場から生じた渦電流により、これらの過活動になっている領域に含まれる膝下部帯状回(しつかぶたいじょうかい)、前頭葉眼窩野(ぜんとうようがんかや)などの血流を減少させて、過活動を抑えてうつ症状の改善を目指します。
双極性障害の治療は一般的には薬物療法ですが、薬剤の作用は全身に及ぶため、全身で副作用が出る可能性があります。反復経頭蓋磁気刺激なら脳だけに作用し、全身で副作用が出る可能性は低いとされています。また、現在行われている薬物療法とは効果が出るしくみ(作用機序)が異なるため、現状では薬物療法が効かないケースにも有効性が期待されます。
- 療養の分類
理学療法
- 部位の分類
神経系
- ※「*」印が付いている医療技術は、「先進医療B(第3項先進医療)の技術」を表しています。
実施医療機関
| 都道府県 | 医療機関名 | 所在地 | 電話番号 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 慶應義塾大学病院 | 〒160-8582 新宿区信濃町35 | 03-3353-1211 |