二段階胚移植術

二段階胚移植術

不妊症（卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊または一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床または妊娠に至っていない患者（子宮内膜刺激術が実施されたものに限る。）に係るものに限る。）

一般的な体外受精（胚移植）では、排卵後２～３日で胚（受精卵）を子宮に戻します。しかし、繰り返し着床に至らない場合は、胚盤胞移植が行われます。胚盤胞とは、胎盤と胎児になる部分が確認できるまでに成長した胚を指します。胚盤胞移植を行うことで良好胚が選択しやすくなるものの、妊娠率は５０％前後にとどまっています。
胚盤胞移植でも妊娠に至らない理由の１つが子宮環境の不全です。胚と子宮内膜はシグナル交換（細胞同士の情報交換）により、胚が着床しやすいように子宮内膜の状態を整えていることがわかっています。初期胚の段階でシグナル交換が行われないため子宮環境が十分に整わず、着床不全が起きている可能性があります。
この先進医療は、採卵（培養開始）２日後と５日後の胚を二段階で子宮に戻す移植法です。まず初期胚を移植し、子宮内膜の状態を着床しやすい状態に整えます。残りの胚は培養を続け、培養５日目で得られた胚盤胞を移植します。
この先進医療の適応となるのは、卵管性不妊や男性不妊などの不妊症や、一般的な不妊治療で効果がない患者さんで、２回以上着床または妊娠に至らずそのうち１回は子宮内膜刺激術※を受けたことがある場合です。
※子宮内膜刺激術は、子宮内腔に胚培養液を注入して子宮内膜を刺激することで、子宮内膜が胚を受け入れやすい環境にすることを促す技術です。
また、この先進医療では多胎妊娠となる可能性があるため、多胎妊娠がリスクとなる患者さん（帝王切開歴がある人、子宮筋腫核出の手術を受けたことがある人など）は適応となりません。
この先進医療により、反復して着床・妊娠に至らなかった不妊症の患者さんが妊娠でき、妊娠率が向上することが期待されます。

その他

生殖器系