脳梗塞は脳の血管が狭くなったり、血栓が詰まったりする病気です。その結果、血流が行き渡らなくなった脳の細胞が壊死(えし)し、壊死した脳の細胞が担っていた脳の機能に後遺症が残ることも少なくありません。また、命に関わることもあります。
このため、脳梗塞の治療は少しでも早く脳血管の血流を再開通させることがポイントになります。現在の治療では、点滴で血栓を溶かす薬剤(血栓溶解薬)を静脈に投与します。
この先進医療は、発症から4.5時間以内の脳梗塞を適応症として、血栓溶解薬であるテネクテプラーゼを用いる治療法です。テネクテプラーゼは、海外のガイドラインでは脳梗塞への使用が推奨されているものの、日本ではまだ使用されていない治療薬です。テネクテプラーゼは、ボーラス静注(短時間で大量に静脈内投与を行うこと:急速静注)と呼ばれる点滴静注より短時間で済む方法で、静脈内に投与することができます。また、体内で作用する時間が長く、血液に粘度を増す働きをするフィブリンという物質となじみがよいため、血栓を溶かす効果が高いとされています。
この先進医療によって脳の血管が早期に再開通することで、脳梗塞の後遺症や要介護になるケース、命に関わるケースを減少させることが期待されます。 |