全身性強皮症とは、皮膚をはじめ全身のさまざまな臓器や関節などの組織が硬くなる(線維化する)病気で、皮膚潰瘍を伴うことがあります。皮膚潰瘍は毛細血管の血流が悪化し、手足の末梢に血液が行き渡らなくなることが原因で、治療には血流の改善が必要です。
現在、血流の改善には、血管を拡張する作用のある薬剤や抗血小板薬を内服あるいは点滴する治療が行われています。血管障害の程度が重い場合や、範囲が広い場合では十分な効果が得られずに難治性となることがあり、皮膚が細菌などに感染しやすくなったり、手足の機能そのものに障害をきたしたりします。その結果、手足の組織が壊死し、切断を余儀なくされる可能性もあります。
この先進医療は、血管に成長することができる細胞を含む単核球細胞を、血流が悪化した患者さんの手足に移植することにより、新たな毛細血管をつくり出す治療法です。前述の薬剤治療に追加する形で行われます。単核球細胞は、患者さん自身の腰の骨(腸骨)から採取した骨髄液の中から取り出し、分離濃縮したうえで移植します。移植は手足の筋肉に注射して行います。
この先進医療により、血流が再開して手足の痛みや皮膚潰瘍の改善、手足の切断を回避できることなどが期待されます。 |