代表的な悪性脳腫瘍である神経膠腫(しんけいこうしゅ)の中でも、最も悪性度が高いグレード4に分類されているのが膠芽腫(こうがしゅ)です。小児の膠芽腫は、成人の膠芽腫同様、悪性腫瘍(がん)の中でも治療が難しいうえ、有効性が確認されている薬剤も少ないことから、新たな治療法の開発が望まれています。
この先進医療は、脳の腫瘍細胞の内部に低強度の交流電場を発生させて、腫瘍細胞にみられる急速な細胞分裂を阻害し、細胞死を誘導することで腫瘍細胞の成長を抑制するという、従来の治療とはまったく異なる作用を持つ治療法です。
対象となるのは、18歳未満で発症した膠芽腫で、腫瘍が大脳と小脳の境目にある硬膜(テント)より上部に位置するケースです。標準治療として行われる手術や放射線治療をすべて行ったうえで、この腫瘍治療電場療法が行われます。成人の膠芽腫に対する同様の治療法はすでに保険診療の適用となっています。
患者さんの剃毛した頭皮に、アレイという治療用の粘着シートを貼り、腫瘍磁場産生装置と接続して、脳内に交流電場を発生させます。28日間を1コースとして、26コース(約24カ月)繰り返します。
この先進医療により、腫瘍の縮小効果による進行の抑制や再発防止、生存期間の延長が期待されます。 |