悪性脳腫瘍の一つである膠芽腫(こうがしゅ)は、悪性度が高く、治療が難しい病気です。
初発の膠芽腫に対しては、まず手術で可能な限り腫瘍を摘出した後に、抗がん薬であるテモゾロミドの経口投与と放射線治療の併用療法を行います。放射線治療終了後も、
テモゾロミドの投与を継続する「テモゾロミド維持療法」を行うのが標準的な治療法です。しかし、治療後に再発することが多く、その原因の一つとして、がん細胞のもととなる「がん幹細胞」の存在が指摘されています。がん幹細胞は非がん幹細胞に比べると抗がん薬や放射線治療が効きにくく、従来の治療法では残存してしまう可能性があります。残存したがん幹細胞が分裂してがん組織を形成し、がんの再発につながると考えられています。
この先進医療は、テモゾロミド維持療法にメトホルミンという薬を併用するものです。メトホルミンは2型糖尿病の治療薬ですが、膠芽腫のがん幹細胞に作用して再発を防ぐ効果が期待されています。従来の治療法にメトホルミンを追加することで、膠芽腫の患者さんの生存期間の延長が期待されます。 |