がん細胞で起こっているさまざまな遺伝子変異の解明が進み、これに対応した分子標的薬と呼ばれる薬が開発されるようになってきました。従来の抗がん薬は、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃し、強い副作用が起こるケースがありました。これに対して、がんの遺伝子変異の状態に合った分子標的薬では、がん細胞だけを集中的に攻撃できるようになり、正常細胞への影響を抑えて副作用を軽減できるようになってきました。
この先進医療は、患者さんのがん細胞の一部や血液を採取して遺伝子の変異を解析するもので、その患者さんに適した分子標的薬を決定するのに役立ちます。日本人のがんにおいて、変異が見られることが多い114種類の遺伝子について、1回の検査で調べることができる点が特徴です。
現在、標準治療が終了した患者さんを対象にした同様の検査法は、健康保険が適用されています。一方、この先進医療では、標準治療開始時に検査を行うことで、より早い段階から患者さん一人ひとりに合った分子標的薬を使用することができ、生存期間の延長が期待されます。
適応となるのは、進行再発固形がん(白血病などの血液のがんに対して、臓器や組織でかたまりを作って増殖するがんを「固形がん」と言う)のうち、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がんまたは胆道がんの患者さんです。 |