悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、進行期の悪性黒色腫は5年生存率が約10%と予後が不良です。がんは遺伝子の変異によって起こり、悪性黒色腫ではBRAF遺伝子やKIT遺伝子などに変異が見られます。
顔や首、手の甲などの日光にさらされやすい部位や、手のひら、爪、粘膜から発生した悪性黒色腫は、足裏や体幹(胴体)などから発生した悪性黒色腫に比べ、KIT遺伝子に変異がある患者さんが多いことが分かっています。
KIT遺伝子に変異がある悪性黒色腫には、KIT阻害薬が有効であることが明らかになっていますが、健康保険は適用されません。また、KIT阻害薬単独では治療効果が限られますが、免疫チェックポイント阻害薬と併用することで相乗効果が得られるという研究報告があります。免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞に対して、生まれつき体に備わった免疫の働きが抑制されることなく十分に発揮できるようにする薬です。
この先進医療は、KIT遺伝子に変異がある進行期悪性黒色腫で、従来の治療法が効かなかった患者さんに対して、KIT阻害薬であるイマチニブの内服と、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブの静脈注射を併用する治療法です。これらの薬剤の相乗効果により、生存期間の延長などが期待されます。 |