小腸はさまざまな飲食物から体に必要な栄養分を吸収するだけでなく、有害な異物に対処するために強い免疫機能が備わっています。飲食物や有害な異物と接する小腸の粘膜細胞は3日程度ではがれ落ちるため、小腸にはがんができにくいといわれ、小腸がんは「希少がん」に含まれます。適応症の小腸腺がんは、小腸の内壁の表面近くによくできます。
希少がんであることから、小腸腺がんに対する標準治療は存在しませんが、切除が可能であれば切除手術を行うのが一般的です。ただし、がんを切除できた場合でも治癒の目安である5年生存率は40〜65%であり、術後の薬物療法が求められてきました。一方、海外の研究結果をもとに、切除できない小腸腺がんに対しては、抗がん薬のカペシタビンとオキサリプラチンを併用する療法が「みなし標準治療」となっており、導入のしやすさからよく用いられています。
この先進医療は、小腸腺がんの切除手術を行った後にカペシタビンを内服し、オキサリプラチンは点滴で静脈に注入する療法です。術後に薬物療法を加えることで、小腸腺がんの再発抑制や生存期間の延長が期待されます。 |