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肝細胞がんの治療法として、がんを切除する肝切除や、電極針をがんなどに刺して高熱で焼き固めて死滅させるラジオ波焼灼療法が広く行われています。しかし、肝機能障害が進んでいる人や高齢者の多くは、体への負担の大きさなどから肝切除の適応になりません。また、ラジオ波焼灼療法も、胆嚢(たんのう)や胆管など、熱に弱い組織ががんの近くにある場合には適応になりません。
肝切除やラジオ波焼灼療法が困難な場合、現状では、がん細胞が栄養を受け取っている肝動脈を塞いでがん細胞を死滅させる肝動脈塞栓療法が広く行われていますが、治療効果が弱く、繰り返し行う必要があります。
この先進医療は、がんを囲い込むように複数の電極針を刺し、3,000ボルトという高電圧で、1万分の1秒という極めて短時間に電気を流すことで、針と針の間にあるがん細胞に小さな穴を開けて、がん細胞を死滅させる療法です。肝切除ほど体の負担になることはなく、ラジオ波焼灼療法のような高熱は使用しないため、がん周辺の臓器に障害を及ぼすことは少ないと考えられています。この先進医療により、肝切除やラジオ波焼灼療法ができない場合でも、安全で高い治療効果が得られることが期待されます。
この先進医療の適応となるのは、長径3cm以下の腫瘍(がん)が3個以下、または長径5cm以下の腫瘍が1個の場合であって、肝切除やラジオ波焼灼療法が行えず、肝機能障害が中等度以下(Child-Pugh〈チャイルド・ピュー〉分類で9点以下)にとどまっているケースです。 |