複数のがん種において、細胞の表面にがんの増殖を活性化するたんぱく質(EGFR(epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)が現れるタイプがあり、遺伝子パネル検査によって一定数が検出されています。EGFR遺伝子の増幅が認められる(陽性)場合、がん細胞が限りなく増殖しやすいことを意味します。
EGFR遺伝子の増幅陽性の固形がんは、今までは一般的にがん種ごとの標準治療が行われていましたが、治療の見通し(予後)は不良でした。
この先進医療は、分子標的薬のネシツムマブを静脈内に投与する治療法です。ネツシムマブはEGFRを阻害してがん細胞の増殖を抑制する作用がある薬剤の一つで、EGFRが現れることの多い種類の肺がんの治療薬として、すでに保険適用となっています。
適応症は、切除が不可能なEGFR遺伝子増幅陽性の固形がんのうち、食道がんや胃がんなど5種類のがんです。
この先進医療により、手術では切除できないがんでも細胞の増殖が抑えられたり、がんが縮小して予後の改善が期待されます。 |