免疫とは、自分以外のものを異物とみなして体から排除しようとする仕組みのことです。母体にとって胎児(受精卵)は「自分以外」ですが、通常は「免疫寛容」により免疫が抑えられ、着床から妊娠に至ります。「免疫寛容」が十分に働かないと胎児(受精卵)を拒絶してしまい、不妊症の一因になると考えられています。
この先進医療は、免疫抑制剤であるタクロリムスを投与する治療法です。投与期間は胚移植の2日前から16日間です。免疫抑制剤の作用により、母体と胎児の間の免疫学的な異常、特に胎児(受精卵)を拒絶する母体の免疫応答を抑制します。
母体や胎児には異常がなく、母体と胎児の間の免疫学的な異常による不妊症と考えられる患者さんに免疫抑制剤を投与し、母体の免疫状態を正常化することで妊娠が期待されます。さらに、不育症を併発しているケースでも妊娠を継続できることが期待されます。 |