感音難聴とは、内耳に異常を来して音が聞こえにくくなる難聴のことです。
片側だけに起こる難聴として最も多いのが突発性難聴、次におたふくかぜ感染後に起こるムンプス難聴が挙げられます。
難聴の程度は、軽度、中等度、高度、重度に分けることができます。その中で、高度難聴とは、聞こえる最小の音が70dB(デシベル)以上90dB未満で、目安としてはとても大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえないレベルとされています。重度難聴とは、聞こえる音が90dB以上で、補聴器でも会話が聞きとれないことが多いレベルです。
両側の耳が重度の感音難聴の場合、人工内耳を耳の後ろあたりに植え込む手術を保険診療として受けることができます。人工内耳とは、集めた音を電気信号に変換して聴神経を刺激し、音を伝える装置です。
一方、片側の耳に高度・重度の感音難聴が起こっている場合、補聴器を使用しても聞こえにくいことがあります。どの方向で音がしていても、もう一方の聞こえる耳の方向から音がしているように感じてしまったり、騒音下では一層聞こえにくく、コミュニケ―ションがとりづらい状態になったりしますが、現状、保険診療で受けられる有効な治療法がありません。
この先進医療は、片側の耳が高度・重度の感音難聴の患者さんにも適応を広げて、人工内耳を植え込む手術です。すでに両側の重度難聴の患者さんに用いられている人工内耳と同じものを用います。
聞こえ全体が改善され、音がする方向を正しく聞き分けられるようになったり、騒音下でもよく聞こえるようになったりし、生活の質の向上が期待されます。 |