神経内分泌腫瘍は、ホルモンなどを作る神経内分泌細胞からできた腫瘍のことで、膵臓にできたものを膵神経内分泌腫瘍と呼びます。
現在、膵神経内分泌腫瘍に対して行われている主な治療は、外科手術です。膵臓は血糖値を下げるホルモンのインスリンを分泌しますが、外科手術によりこの膵臓の機能が損なわれ、糖尿病を発症するリスクが高まる恐れがあります。
この先進医療は、膵神経内分泌腫瘍にエタノールを注入し、腫瘍を凝固壊死させる治療法です。先端に針が付いた超音波内視鏡を口から胃まで挿入し、超音波による画像で位置を確認しながら、胃壁を通して隣接する膵臓に針を刺してエタノールを注入します。エタノールを腫瘍に注入する治療法は、体外から針を刺す方法で、以前から早期の肝細胞がんなどに対して行われており、がんを凝固壊死させる効果が確認されています。
この先進医療は、超音波内視鏡を使うことで患者さんの体への負担が軽減され、治療後の患者さんのQOL(生活の質)に大きく貢献できると考えられています。さらに、腫瘍だけを凝固壊死させるため膵臓の機能を温存でき、糖尿病の発症を回避できることが期待されます。 |