大腸がんの進行度のうち、リンパ節に転移しているのがステージIII期です。この場合、がんの部分を含む腸管と、転移の可能性があるリンパ節を切除する治療が行われます。切除したリンパ節にがんの転移があった場合は、再発予防のために抗がん薬治療(術後補助化学療法)がすすめられますが、再発予防の効果や治療後の生存期間は十分とは言えないのが現状です。
この先進医療は、従来の抗がん薬による術後補助化学療法に、解熱・鎮痛薬、さらには心血管系の病気の予防薬などとして広く使われてきたアスピリンを加える療法です。アスピリンは非常に安価であり、副作用などの有害事象も少ない薬剤として知られており、近年、大腸がんの再発予防効果を示唆する研究結果の報告が相次いでいます。適応となるのは、肛門近くの下部直腸を除く大腸がんであり、ステージIIIで手術によってがんが完全に切除されたと判断されるものです。術後補助化学療法にアスピリンを併用することで、切除手術後の大腸がんの再発予防や生存期間の延長が期待されます。 |